Life Sciences
粘着性ゲルの口腔内装置への応用
金子 知生
講師
Tomoo Kaneko
博士(歯学)
粘着性ゲルにより口腔内装置の維持のイノベーション
歯科で用いられる口腔内装置はクラスプなどの維持装置で歯に維持を求めている。本研究ではポリカーボネートフレームの皮膚や粘膜面側にPCDMEゲルなどの粘着性ゲルを接着させた口腔内床装置(口蓋閉鎖床など)を試作し、開発に取り組んでいる。
研究の内容
本研究による口腔内装置を口蓋閉鎖床として用いる場合、粘着性を有するゲル組成物を口腔内粘膜に接触させて固定させることができるため、従来の口蓋閉鎖床(図1)とは異なり、クラスプを必要としない。このため、クラスプに起因する歯肉炎の発生を低減することができ、歯列の側方成長の妨げを回避でき、締め付け感、圧迫感等無しに快適に装着することができ、口蓋閉鎖床を着脱する際には口腔内を傷付けず安全に行うことができる。また、歯の未萌出時期にも装着でき、早期より言語トレーニングを行うことができる。さらに、薄いフレーム上に薄くゲル組成物を形成させることができ、均一な厚さとすることができる。このため、装着時の違和感が軽減されるとともに、口腔空間を広く確保することができ、舌の可動領域が広がることで言語トレーニングに有効である。
社会実装への可能性
- ・口蓋閉鎖床
- ・ホッツ床
- ・矯正床装置
- ・義歯
- ・マウスガード
産業界や自治体等へのアピールポイント
本研究は北海道大学大学院先端生命科学研究院先端融合科学研究部門ソフト&ウェットマター研究室と共同研究開発を行っている。この装置が実用化されれば口蓋裂患者の負担はかなり軽減され、言語治療にも多大な貢献が期待できる。また、この素材は義歯などの床粘膜面に応用が可能で、歯科領域にイノベーションできるのではと考えられる。
本研究に関連する知的財産
特願2014-219234 「口腔内装置及び口腔内装置の作製方法」
2018/4/3公開